「さて、どうやってハントしていこう・・・?」
幸のダウジングを頼りに2人は廊下を進んでいく。
「ハントするものを重要なものだけに絞り込んだとしても、短時間で全てハントするのは無理そうです。二手に分かれた方が効率は上がると思うんですけれど・・・。」
幸が直斗の顔を窺う。直斗は少し考え言葉を選びながら答えた。
「確かにそうだけど、僕はダウジングとか出来ないから片端から調べていく事になるし、それに、さっきはオートロックだけだったけど、重要な史料がある部屋にはきっとさらに厄介な仕掛けがあるかもしれない。盗賊もいるし、幸1人だけで行動させるのは心配だよ。」
つまり直斗がついてきているのは、二手に分かれても効率は思う程上がらないのと、幸1人では危ないと思っているからである。幸は別に1人でも全く問題はなかったが、直斗がトラップにかかった時の事を考えると2人でいた方が助け合えるのでいいように思えた。
その間に部屋に辿り着き、慎重に部屋の中へと入った。その時扉は少し開けておいた。
「ここに重要なものはあると思うんですが、さすがにどれかまでは分からないのでここからは片端から調べるしかありません。」
部屋は倉庫で様々な道具などが置かれているため、全て調べるのは時間がかかりそうだ。
「そういえば、幸ってどういう基準でダウジングするものを特定してるんだい?」
ただ史料を探そうとすればこの遺跡にあるもの全てに反応してしまう。だから何かを基準にして調べなければならないはずだ。
「フロンティアのマークが刻まれているか、いないかで判断します。わざわざフロンティアの作ったものですって示すからにはそれなりに重要なものである確率が高いですから。そしてマークのうち力が込められたものである事を示すマークの方が特に重要です。これは歴史的史料になるだけでなく、シャナ国の科学力を上げるための資料にもなるので。」
「という事は、マークが刻まれている史料がここにあるんだね。」
「はい。」
しかし目印があるといっても調べるのには随分時間がかかった。ようやく1つ見つかった所で直斗が話しかけてきた。
「マークが刻まれたものも大事だろうけど、刻まれてないものでも大事なものだと思うんだけどなぁ。」
直斗は一旦手を止めて辺りを見回した。
「もちろん私もそう思います。しかしマークで『これは重要です』って示されていたら、まず狙われてしまいます。だから先にマークの描かれているものをハントして盗賊の手に渡ってしまわないようにしなければなりません。特に力が込められているものは売らずに悪用する事だって出来てしまうので。」
喋っているうちにもう1つマークの刻まれた物を見つける。
「そうだね。だけど、何だかそれって悲しい事だと思わない?」
直斗は独り言のように呟いた。
「つくられたもの全てに当時の思いが込められている。それを利用出来るかどうかで線引きして・・・。歴史に触れるってそういう事じゃないと思うんだけどなぁ。」
直斗は昔を思い出しているように遠い目をしていた。それに答えようとした時、幸は何かの気配を感じ、振り返った。