翌日男性が教えてくれた場所へ行くと本当に遺跡があった。朝早いため辺りにはまだあまり人がいない。遺跡の高さを目算すると1階建てのようでそんなに大きく見えないが、エント遺跡のように地下に続いている可能性もある。しかしエント遺跡と違ってニッジョ遺跡は地上にきちんと当時の入り口があった。内部に入ると窓は少なく、電気も点いてはいるが薄暗い。遺跡はとても数百年前のものとは思えない程綺麗な状態で発見されたようだった。というのは、発見されてからはトレジャーハンター達が立ち入ったために新たに傷が入り始めているという意味である。一通り見て回ったが事務用らしき机がたくさん並んでいるだけで、あとは何もない。
「あのトレジャーハンターの人数を考えたら、地下がありそうなんだけれど・・・。」
 あちこち部屋を覗くものの階段が見つからない。1カ所だけ怪しかったのが開ける事が出来ない金属の扉だった。扉の横には下向きの矢印が描かれたボタンがある。
 怪しいのでそのボタンは後回しにしていたのだが、他に手段がないために押す事にした。押すと扉の向こうで何かが動く音が聞こえ、少し経つと扉が開いた。扉の中は扉と同じ大きさの小さな部屋になっている。
「もしかして・・・これが噂の昇降機エレベーター?」
 小さな田舎の村で育ち、大都市に行った事のない幸はエレベーターを見るのが初めてだった。本や話で使い方は知っていたものの、やはり初めてとあって少し緊張する。中に入るとボタンは扉を開閉するものしかなく、1つ下のフロアにしか行けないようだった。
「今ある昇降機はフロンティアのものを参考にして作られたって聞いたことはあるけれど、実際に動くものがあったんだ。」
 いくら外的損傷がないとはいえ、一度は高熱の火山灰の中に埋もれたのである。熱で壊れて動かないものだと思っていた。
「そういえば遺跡の照明も当時のもののまま使われているみたいだけれど、そう考えると本当にすごい技術を持っていたんだなぁ。」
 エレベーターが下のフロアに着き、扉が開いた。地下は窓がないため1階よりも暗い。そして床面積も広くなっていて、通路や部屋もたくさん増えていた。
「これは調べるのが大変そうだなぁ・・・。」
 効率よくハントをするために六角水晶のペンダントを取り出し歩き出す。しかし、まだあまりハントされていないようで、道の分岐点に来ても複数の方向から反応があった。
 そして最初の部屋の扉の前に辿り着いた。ここに来るまでにトラップはなかったものの、それは通路限定で、部屋に入る時や内部に防犯装置が仕掛けられている可能性もある。用心深くドアノブを回し、そっと扉を開いた。

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