翌朝、指定された場所に向かうと既に直斗が待っていた。
「おはようございます。」
「おはよう。・・・ってあれ? 鈴音もトレジャーハントするの?」
 直斗は幸が鈴音と一緒に来た事を不思議そうに見る。
「遺跡は中まで見てなんぼでしょ。それに多少なりとも幸の役に立てればと思って。」
「鈴音は私よりも身軽だから、安心して下さい。」
 鈴音と幸の言葉に直斗は「わかった」と返事をして、遺跡内部へと入っていった。

 遺跡に入ってすぐは考古学者が何度か立ち入っている為、瓦礫等は綺麗に片付けられていて歩きやすかった。
「研究所から地図を貰ったんだけど、幾つかの道は当時爆発のような事があって瓦礫が散乱して今はまだ進めないみたいだ。」
 直斗が先頭を歩き、後ろに鈴音と幸が続く。
「地図が途切れた所からの道順は私が記録しましょうか? 直斗さんが先頭を歩いて下さっているので、危ないでしょうし。」
 幸の提案に直斗が頷く。
 やがて通路の途中に金属製の扉を見つけた。地図にはその先の事について何も書かれていないので未調査なのだろう。
「随分頑丈そうな扉だなぁ・・・。開かないのかな?」
 直斗が引き戸になっている扉の取っ手に手をかけるが、多少ガタガタと揺れるだけで動かない。
「鍵がかかっているみたいですね。」
 幸が後ろから扉を覗き込み、取っ手の上にはめ込まれている画面を指差す。一見画面は真っ暗に見えたが、見る角度を変えるとうっすらと『緊急ロック作動中』と表示されているのが見えた。
「動くかな・・・?」
 幸は手を伸ばし画面に触れる。画面は暗いままだが、表示が変わったのでそのまま操作を続ける。しばらくいじくると、やがてピーッという機械音と鍵の外れる音が聞こえた。
「よし、外れた。」
 幸は扉に手をかけて動かそうとしたが、扉か壁か変形しているのかなかなか動かない。
「うおりゃっ!!
 半ば力ずくで扉を動かすと、大量の黒い煙が上がった。
「うわっ! ケホッケホッ、ご、ごめん・・・。」
 3人はしばらくむせたのち、扉の先を見た。すると内部は煤けて真っ黒になっていた。
「これは・・・、火事があったようだね。」
「それで『緊急ロック作動中』ですか・・・。」
 入口から見える様子では作業台等が熱で変形しているのが見てとれた。奥には通路が続いているが、そちらには扉がなかった。
「向こうへ続いてるみたいだけど、同じように焼け焦げてそうだね。ここは後回しにしようか。」
 直斗は鞄からカメラを取り出し、何枚か撮影する。幸は移動メモにその事を記して奥へと歩き始めた。

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