眩しくて閉じていた目をゆっくり開いてみるとそこは1階と同じような大広間が広がっていた。しかし1階と違い絵画ではなくレリーフが彫られていた。そして天井は全てガラス張りで、ガラスの向こうには夕焼け空が続いていた。床を見ると何かが刺さった跡がたくさん残っており、このガラスは一旦割れて、チェルト遺跡発掘の際修復されたようだと推測できた。
 そして大広間の奥、祭壇の前に石版 が置かれていた。幸と鈴音はお互い何も喋らず石版の前へ行き、石版の文字に目を走らせた。
「『ところが不安を大きくさせる出来事があった。ある活火山が予兆もなく突然噴火を起こした。幸い被害は出なかったものの、今まで噴火日を概ね予測し当てていた研究所はその噴火を全く予測できていなかった。これは過激派の仕業だと気付いた者達が説得を続けるも効果はなく、フロンティア全土に過激派の作戦を伝え注意喚起もしたが、誰も取り合おうとはしなかった。』・・・。」
 幸は石版の文字を読み上げた後黙ってしまった。
「『予測出来なかった噴火』に『過激派の作戦』・・・。それがフロンティアの滅んだ原因ってなら、かなり物騒な話ね・・・。」
 代わりに鈴音が声に出す。
「どういう事なんだろう。今までに読んだ石版は『始まりの石版』以外に2つだけで、それらも書かれていたのはフロンティアの技術が確立する前の事、技術を実用化した事しか書かれていなかったから、何でそんな話に・・・。」
 嫌な予感が頭をかすめたが、推測で間違った認識をしてしまわぬようその感情を振り払った。
「つまりはまだまだ石版を探していかなきゃならないって事ね?」
 鈴音が心配そうな顔で幸を見る。幸は鈴音の不安を取り除くように笑った。
「大丈夫。そんな簡単に石版が解読出来るとは思ってなかったし、それに石版を探していく中でいろんな村や人に出会えて楽しいから平気だよ。だから心配してくれて、ありがとう、鈴音。」
 必死でフォローする幸を見て、鈴音は仕方ないというように微笑んだ。
 ふと気が軽くなるとお腹が空いている事に2人とも気が付いた。そのため大広間で大分遅くなった昼食を食べ始めた。

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