明るくなった階段を上り始めたが、階段は1段1段高さが異なっていて非常に上り辛かった。もし灯りを点けていなければ2、3回は踏み外して転んでいただろう。
 階段を上りきるといきなり道が3方向に分かれていた。そのためダウジングをしながら進み始める。ところが今度はそうスムーズに進ませてくれなかった。足を1歩進めると壁から槍が突きだし、驚いて1歩のけ反ると地面が窪み、尻餅をつけば天井から鉄球が落ちてきて、身体を反転させ避ければ矢が飛んでくる・・・といった風に次々と罠が発動され数歩ずつしか前に進む事が出来なかった。そうして少しずつ前に進んでいくと次第に壁や床に血痕跡が増えてきた。恐らく少しずつ怪我を負わせていき、やがて力尽きてしまうのを狙ったトラップだろう。地味に疲労を溜めていき最期まで苦しめるので何ともタチが悪く感じる。本来『神々の力』を有する者が正しい方法で立ち入ったのならトラップは発動しなかったのかもしれないが、トラップを止める為の仕掛けは見つからなかった。もしかしたら入口の鍵が壊された時点ですでにトラップを止める仕掛けも壊れてしまったのかもしれない。2人はなす術もなく必死でトラップを避けていく。
「トレジャーハンターって・・・ハードなのね・・・・・・。」
 鈴音は若干息が上がってきたため、膝に手を置いて身体を休めた。
「いや、私もここまでトラップだらけなのは初めてだよ・・・。」
 同じく幸も他の場所に触れないようしゃがみ込んで息を整えた。
 行く先にようやく扉が見えてきた。10歩も歩かずに辿り着ける距離なのにとても遠くに感じられる。
「・・・よし、行くわよ。」
 鈴音は身体を起こし、慎重に次の1歩を踏み出した。しかし何も起こらなかったため後ろの足を上げた。
「危ない!」
 後ろ足が上がると同時に鈴音に向かって矢が放たれた。その瞬間に幸は鈴音を押し倒した。矢は幸の手の甲擦れ擦れを通っていった。だが鈴音が倒れたせいで更にトラップが発動し、岩が降ってきた。それを拳で打ち砕き、鈴音の上には小石が軽く落ちる程度に済ませた。
「踏むだけじゃなく、離れる時までトラップを仕掛けるなんて・・・。」
 その光景を鈴音は呆然と見ていた。すると幸の左手の手袋が破けている事に気が付いた。
「幸! 怪我してない!?
 鈴音が慌てて、それでも慎重に立ち上がって幸の手を取った。
「あ! 手袋が破けている!?
 鈴音に手を取られて幸も初めて破けている事に気が付いた。
「さっきの矢で破けたのかな・・・。」
 手袋を取ったが、手には掠れた跡があるだけで血は出ていなかった。
 破けた手袋をポーチに仕舞い、扉の前まで気を付けて進んだ。扉の横には先程と同じような画面が埋め込まれていて、そのままでは扉を開けようとしても開かなかった。再び手をかざし、表示された記号に触れると扉の鍵が外れた。扉の先にはまだ廊下が続いていた。
「うわぁ・・・・・・。」
 それを見た2人はこの先も続くのかと思うと、思わずため息をついた。

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