日が一切入ってこないのと、ずっと気を張り巡らせているせいで、一体どのくらいの時間が経ったのか分からなくなっていた。辺りの血痕を見ると食事をする気にもなれず、次第に疲労が蓄積して意識が散漫になる。それでもようやく次の扉を見つけて、思わず幸と鈴音は扉に両手をついて身体を預けた。
「幸・・・本当に道、合ってるの・・・?」
「多分・・・・・・。一体いつまで続くんだろう・・・・・・。」
 さすがに幸もすっかり気が滅入ってしまっていた。扉に半分もたれた状態で右腕を伸ばして扉横の機械を動かす。
 鈴音はその様子をぼんやりと見ていたが、突然表情を強張らせた。
 異変に気が付いた幸が鈴音の方を見ると、鈴音は幸の左手の甲を凝視していた。釣られて幸も自分の左手の甲に目を移すと、鈴音が何を見ていたのかに気付いて勢いよく手を引っ込めた。

 「今・・・、手の甲にフロンティアのあのマークが浮かんでなかった・・・・・・?」

 鈴音が信じられないといった声で自身が目にしたものを口にした。幸は悩み戸惑いながらもおずおずと左手を差し出す。その左手の甲にはうっすらとだがフロンティアの力の循環を表すマークが浮かび上がっていた。少し経つと何事もなかったかのようにそのマークは消えてしまい、矢のかすり傷だけがそこに残っていた。
「何なの、これ・・・?」
「・・・・・・フロンティアの『力』だよ。私はフロンティアの各遺跡に配置された、フロンティアが滅んだ本当の理由が記された石版を探して旅をしているんだけれど、その石版の暗号を読み解くための『力』なんだ。」
 鈴音は意味が理解出来ず、眉間にシワを寄せる。その様子に幸は力なく笑った。
「そういえば鈴音には、私がリトス村出身だって言ったよね。」
 そう言ってあの日の出来事を話し始めた。

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