幸が一旦話を終え鈴音の方を見ると、鈴音の顔はすっかり青ざめ、声も出せずにいた。
「その石版が『始まりの石版』というもので、そこには石版を複数に分けて各地の重要な遺跡に設置した事、その石版にはフロンティアが滅んだ本当の理由が書かれているという説明が書かれていた。そして『始まりの石版』には石版を読み解く力、フロンティアの道具を使いこなすための『力』が込められていた。私が石版に触れた事によってその力を手に入れたって訳。で、力を使うと身体に負荷がかかるから手の甲にフロンティアの力のマークが浮かび上がって負荷のかかり具合を教えてくれるの。・・・もともとはフロンティアの力を使える人々が実際にマークの入れ墨をしていた所から来ているんだって。」
「じゃあ、難なく電気を点けたり扉を開けたりしてたのって・・・。」
「そう、この力のおかげ。ついでに言うと、私の怪力やダウジング能力もこの力によるものなの。人間って知らず知らずのうちに力を制御しているんだけれど、その制御を自由に解除出来るようにしてくれているんだ。」
幸は力なく笑い続ける。その姿を見て鈴音は身体を震わせ始める。
「一体誰がそんな事を・・・。」
「それが、思い出せないんだよね。石版の最後に署名があったはずなんだけれど・・・。実はその後どうやっておばあちゃんの家に帰ったのかとか何をしていたのか、1年くらい記憶が吹っ飛んでいて・・・、」
「何なのよ、それ!!」
突然鈴音が大声で叫び、怒りに身を震わせた。
「何で幸がそんな理不尽な目に合わなきゃいけないのよ! いきなり家族を、故郷の人達を殺されて、隠れた先には石版があって!? それで各地の石版を読み解かなきゃいけないとか、訳分からない!!」
鈴音は行き場のない怒りを壁に八つ当たりしようとしたが、それでトラップが発動してしまう危険性があったため拳を強く握りしめるだけにとどめた。
「大丈夫。石版には救われているんだ。私にはやるべき事がある。それで私は立ち上がらざるを得なくなった。もし石版の事がなかったら、私はただひたすらずっと盗賊の事を呪って過ごすだけだったと思う。だから・・・大丈夫だよ。」
幸は笑顔を作って何とか鈴音をなだめようとする。その姿に鈴音は怒りを収めざるを得なくなった。
「行こう。」
幸は扉のロックを解除した。扉を開けるといきなり階段が続いていた。その階段を慎重に昇っていくと、突然辺り一面が眩いオレンジ色の光に包まれた。