「暑い・・・。」

 幸はフラフラとした足取りで空を見上げた。日差しを遮る程ではないが、空には雲が疎らに浮かんでいる。
 続いて辺りを見渡す。日差しを遮ってくれる木々は立っていないが、地面には草が生え輻射熱を遮ってくれている。
「何でこんなに暑いんだろう・・・?」
 砂漠とはいえない場所なのに尋常でない暑さを感じ、首を傾げようとしたその時、幸の身体が大きく傾きそのまま座り込んでしまった。
「・・・・・・ああ、私が熱いんだ・・・・・・?」
 地面の冷たさに自分が発熱している事に気付き、這うように歩いて大岩の影に入った。
「あ・・・、岩が気持ちいい・・・。」
 岩に身を預けるとひんやりとしていて、幸の身体の熱を奪っていく。
 そしてそのまま幸は気を失った。

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