三度鏐飛を見つけた時には鏐飛はどの道を行くか悩んでいる所だった。鏐飛はこちらが話しかける前に幸に気付き、不満そうなをした。
「幸、ついてくるなって行ったじゃん。」
そのまま鏐飛が歩いていこうとするので、あわてて走り寄って腕を掴む。
「ごめん! 琳を説得しようとしたら怒らせちゃった・・・。」
幸は謝って事の顛末を伝えた。
それを聞いた鏐飛はため息をついた。
「何でわざわざそんな事するんだよ。こんな喧嘩放っときゃいいだろ?」
鏐飛の呆れた口調に幸は「放っておけないよ。」と答えた。
「だって、家族だよ。琳から聞いたけれど、例え血の繋がっていない姉弟でも、琳が姉弟だって言っていたから、それは本当の姉弟と代わらないんだよ。大事な家族なのにちょっとした行き違いで2人が傷付くのは悲しいから・・・。」
幸はすっかり落ち込んでしまい俯いた。その姿を見た鏐飛は
「家族だからこそだよ。」と息を吐いた。
「・・・琳は本当の姉ちゃんじゃない。だから責任なんてないのにいっつもおれの世話ばっか焼いて、琳だって本当は甘えたいのに、おれに気を使って弱音なんて吐かないんだ。」
鏐飛は幸に背を向け、通路の先を見つめる。
「家族なのにそんなのフェアじゃない。姉だからって、あいつだけ我慢すりゃいいってもんじゃないだろ。なのに琳は解ってくれないんだよ。」
鏐飛は再び怒りが湧いてきて、地面を蹴飛ばした。
「だからおれは1人で何でも出来るようになりたいんだ。そうすりゃ、琳だって安心して弱音を吐いてくれるかもしれない。」
そして幸の目を見つめてまっすぐに言った。
「家族だからこそ、この喧嘩は必要なんだ。だから幸がこれ以上お節介を焼く必要はないんだ。」
鏐飛は幸から目を反らし、進もうとしていた道に歩いていった。幸は鏐飛の後を追わず、鏐飛が歩いていくのを見つめる。
「でも、だからといって勘違いしたままはダメだよね。」
幸は頬を叩いて落ち込んでいた自分に喝を入れ、三度琳を探し始めた。