しかしその翌日も、さらにその翌日も石版を調べていったが、不自然な石版は見つからなかった。
 学芸員に頼み、閲覧制限のかかっている石版や破損していたり補修中の石版も見せてもらったが、何処にもなかった。
 そして1週間が経ち、2人は閉館直前の館内に疲れて座り込んだ。
「ね〜、幸〜、もしかしたらここに石版なんてないんじゃない? ここにたくさん石版が置いてあるから、間違ってここにあるって思ったんじゃない?」
 鈴音が疲れきった声を出す。
「そう・・・なのかなぁ? ここにはないのかな?」
 幸もさすがに不安になって俯く。
「はぁー、そもそもこの館内自体もわかりにくいのよ。あっちこっちに部屋があって、今何処にいるのか、どの部屋を見たのかわかんなくなっちゃうじゃない。」
 疲れが溜まって鈴音は床に寝転んだ。うーんと手を伸ばして伸びをすると、天井に何かが動くのが見えた。
「あら・・・? 天井が鏡張りになってる。」
 先程何かが動いて見えたのは天井に自分の姿が映ったものだった。
「何で天井全部が鏡なのかしら。光を反射させて明るくしているのかしら?」
 鈴音が幸に問いかけたが、幸は返事をせずじっと天井を見つめていた。
「・・・もしかして、天井で現在位置がわかる仕組みかな? ほら、どの壁も天井まで高さがないでしょ?」
「本当ね。部屋の中に何があるかまではよく見えないけど、部屋の広さや位置は見えるわ。」
 鈴音は起き上がり、天井を隅々まで見渡す。
「これなら館内図がなくても出口には迷わず行けるわね。どうしてもっと早くに気付かなかったのかしら・・・。」
 自分が何処にいるのかわからなくなって同じ通路を何度もウロウロした事を思い出して、ため息をつく。
「もしかしたら見落とした部屋が見つかるかも。確認して行こうか。」
 幸は天井を見ながら、その部屋にどんな本が置いてあったか鈴音と確認していく。
 別のフロアの天井も同じように鏡張りになっていたので、そちらも確認していく。
 すると地下1階に、一部屋入った覚えのない部屋が見つかった。

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