そのまま石版の流れに沿って歩いていくと、左右に続く長い廊下に出た。廊下には等間隔に入口があり、中を覗くと分類毎に石版が置かれていた。廊下の突き当たりには上下へと続く階段が見えた。
「結構広いわね。まさに本を隠すなら図書館の中ね。目的の石版がある場所の目星はついてるの?」
「・・・わからない。まずわかりやすく歴史のコーナーには置いていないと思うんだけれど。ここはダウジングの出番かな。」
幸は六角水晶のペンダントを吊るし、意識を集中させる。しかし幸がまず水晶を静止させようとしても、手を離した瞬間からクルクルと回って静止しない。
「あれ、おかしいな・・・?」
幸は向いている方向を変え、再度ダウジングに挑戦するが、同じように水晶は回り続ける。
「・・・どうしたの?」
幸が何度も体の向きを変えるのを見て、鈴音が不安げに尋ねる。
「どうしよう・・・。石版を探そうとすると、全ての石版に反応しちゃって目的の石版が探せない・・・。」
幸は困った顔で鈴音を見つめる。
「えっ!? って事は・・・、もしかして・・・!?」
「ここにある全ての石版に目を通さないと、どれが探している石版なのかわからないって事・・・。」
鈴音は今歩いてきた時に見た石版の数からヘリド遺跡にある石版の数を想像して、絶句した。
「・・・・・・いや、でも、この遺跡の中に1つだけ謎の暗号の石版が紛れ込んでるんでしょ? 普通に書かれた文章が解読出来るなら、この遺跡の管理者に解読出来ない謎の石版がないか聞けば解るんじゃない?」
鈴音が訪ねると幸は難しい顔をして唸った。
「この遺跡の石版って全て解読出来てる訳じゃないんだよね。私が探している石版って一見詩に見えるから暗号文だと気付かれてない場合も大いにあるし、例え暗号だと解っていても他にも暗号で書かれた石版なんて幾らでもあるから、聞いた所でわからないんじゃないかな・・・?」
そう答えると鈴音はげんなりした顔になった。
「・・・とりあえず2人で手分けして探そう。」
幸が申し訳なさそうに提案するも鈴音は困った顔で幸を見つめ返す。
「でもどうやってその石版を探すの? そもそも私フロンティアの文字読めないのに。」
「0から9の数字を教えるから、石版に刻まれているページ数に不自然な数字が入りこんでいたら教えて。探している石版にもページ番号が振ってあるから、他の石版に混ぜて置いたらページ数が合わないはずだから。」
「なるほど。・・・でもそうなると、不自然なページ数の石版は調査の為に別の部屋に運び込まれている可能性もあるんじゃない?」
「その可能性もなくはないけれど、この石版って地震とかで転倒しないように固定されているし、かなりの重量だからあまり運び出す事はないと思うんだ。」
「確かに。・・・じゃあ、片っ端から探しますか。」
鈴音はやり投げに答え、幸から数字のメモを受け取った。
それから幸と鈴音は1階にある部屋を片っ端から調べていった。しかし1階にある分はおかしな石版は紛れ込んでいなかった。
「ちょっと今日はもう無理じゃない? お腹も空いたし。」
鈴音が時計を確認すると、もう日暮れになっていた。
「そうだね。キリもいいからまた明日来よう。」
そうしてヘリド遺跡を出て、夕飯を取りに店を探しに行った。