翌日、日が登ると同時に目が覚めた。携帯食で朝食を済ませて湖の方を向くと、昨日水面が見えていた場所が土に変わっていた。
「! 本当に一晩で水がなくなっている!」
近付くと水に浸かっていたと思われる場所がぬかるんでいる。視線を足元から前方へ向けると坂の下に無数の建物が立っているのが見えた。
「すごい! 本当に町がある!」
泥濘に足を取られないよう慎重に坂を下っていく。やがて町の主要道路に辿り着くと地面が石畳に変わり、足元が安定した。
モース遺跡にはすでに何人かが立ち入っていた。その半数は考古学者と思わしき人達で、立ち入り禁止区域の説明をしたり、目印となる三角コーンを置いたりしている。
立ち入り禁止区域の先は建物が崩れていたり、水が完全には引かずに水が溜まったままになっていたりした。
立ち入り禁止でなくても水棲植物や波により痛みが目立つ建物が多いが、崩れそうな気配は微塵も感じられなかった。
「観光もしたいけれど、まずは石版が先だよね。」
じっくり見て回りたい気持ちを抑えてダウジングを始める。六角水晶が回る方向へ向かって歩き出す。
道に所々窪みがあり、そこに水溜まりが出来ている。場所によっては足首にかかる程度水没したままの道もあった。他の観光客の中には靴のまま進むか裸足になるかで悩んでいる人達もいたが、幸い幸はゴム靴なのでそのまま突き進んでいく。
坂を上り再び水の溜まってない道に出ると、そこには立ち入り禁止の三角コーンが置かれていた。しかし水晶はその先に進めと回転を続ける。
「この先に石版があるのか・・・。大丈夫かな・・・?」
幸は辺りをよく見回して誰も居ない事を確認してから、立ち入り禁止区域へ駆け込んだ。
立ち入り禁止区域の先はやはり建物の劣化が進んでいたが、他の区域に比べると崩壊の危険は感じられなかった。ダウジングに従い道を進んでいくと、下り坂や階段でどんどん下っていく事になった。
「・・・もしかして、ここが立ち入り禁止なのは真っ先に水没する場所とかだったり?」
泳げない幸の顔がさっと青ざめる。
水位がどの位の速度で上昇していくのかはわからないが、夕方5時頃から水が戻ってくると話に聞いた。それまでに石版を探して観光可能区域に戻らなければ陸地まで戻るのは難しいだろう。
幸は気を引き締めてダウジングに集中した。