やがて入り口に手が届く距離になり、身体を引き上げて穴の外へ這い出た。外はすっかり暗くなり星が輝いている。もと来た道を辿ろうか悩んだが、下手をすると周囲が沈んでしまって道が通れなくなってしまう恐れがあった。その為湖の端を巡って傾斜の緩やかな場所をよじ登る事にした。
「・・・・・・っ!! 寒い寒い寒い寒い!!」
ようやく安全な場所までやってくると、緊張が解けて身体が冷えきってしまっている事を思い出した。あまりの寒さに暗記した石版の文章を忘れてしまいそうで、転がってる石を掴み震える手で地面に文字をあわてて書きなぐった。
「寒い寒い寒い寒い! もう無理!」
最後は文字かすらわからない悪筆で書き終え、猛ダッシュで宿へと走っていった。