その後、幸は辺りにいた人々にエント遺跡で出会った男性の行方を聞き、追いかけていった。そして彼が行ったとされる遺跡に次々行ってみると、エント遺跡同様手紙が置かれていた。それで彼がU.N.だと幸は確信した。
 しかし幸自身、何故彼を追いかけたいのか分からなかった。今いる盗賊紛いのトレジャーハンターではなく、昔ながらの考古学者の手伝いをしているトレジャーハンターに会えたから、あんな置手紙をしてまで歴史を守ろうとしている人と話してみたいから追いかけているのもある。だがそれ以上に、何かが心の中に引っかかっていて、追いかけずにはいられなかった。

 道の途中に丁度腰掛けるのにいい大きさの石を見つけたので、そこに座って休憩する事にした。追いつこうとしていつもより早いペースで歩いていたために、疲れが溜まってきていた。
 地図を広げて現在地を確かめる。男性に追いつく事だけを考えて、行く先の事など考えていなかったが、本来の目的地であるチェルト遺跡へのルートからはあまり逸れていなかった。ルートを再確認していると、小さい頃に読んだ考古学の本に載っていたある地名が目に入った。
「あっ! この近くにヒスト遺跡がある! 行ってみようかな。」
 ヒスト遺跡はこの辺りでは大規模な遺跡で、観光地としても有名である。発掘作業等はほぼ終了し、トレジャーハントも出来ないが、それでも行く価値はある所だった。
「よし、休憩終わり。」
 好奇心が置手紙の男性よりも勝り、ひとまず男性の事は置いてヒスト遺跡へと向かう事にした。

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