村の中心に立つ巨木の下に幸は立っていた。

 リトス村の御神木と言われる樹齢何百年ものその木は、村の子供たちの格好の遊び場でもあった。
「さっちゃん。」
 幸より5つ程年上の子供が幸に話しかける。
「実はもうすぐ考古学の勉強をするために村を出ようと思ってるんだ。」
「ええ!? もうすぐでわたしも学校に入るから、なっちゃんといっしょに学校にいけるとおもったのに!?
 なっちゃんと呼ばれた子は困った顔で笑い、幸の頭をなでた。
「でも、どうしてもやりたいから。」
 幸もなっちゃんの夢をよく知っていたため、静かに頷いた。

 次に幸はリトス村の入り口の前に立っていた。村にはいつもの活気はおろか生活音すらしない。不安になった幸が村の中を走っていくと、点々と赤黒い大きな何かが転がっているのが目に入った。それが血を流した村人だという事に気が付き、慌てて自宅へと走っていった。自宅の戸を開けると、そこには同じく赤く染まった母親の横たわった姿があった。駆け寄って身体を揺さぶったが、何1つ反応は返ってこなかった。

 その時、村の向こう側で何かがぶつかる音がしたのでその方向へと走っていくと、そこでは十数名の盗賊が残っていた村人に襲いかかっていた。盗賊は幸の存在に気付き、追いかけだした。幸は必死で村の中を走っていった。

 神木のある広場に来ると、幸は神木にあるうろに隠れようとした。うろに入ろうとすると樹の一部が折れ、うろの中に落っこちてしまった。
 するとそこは石で囲って造られた地下室があり、ただ1つ、フロンティアの文字で書かれた石版が置かれていた。そして幸はおそるおそるその石版に近付き、両手で触れた。


 その瞬間、幸は目が覚めた。

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