念のため都宮の所持品を調べてみたものの、金銭になりそうなものは何も持っていなかった。そこで幸は都宮をロープで縛って逃げられないようにし、坂本が戻ってくるのを待つ事にした。人を縛る事は一瞬ためらったが、ずっと取り押さえておくのは難しいため仕方なく行った。
「・・・来ないなぁ・・・。」
 幸は時計を持っていないのでどの位時間が経ったのかは分からないが、それでも普通なら戻ってこない相方を心配して出てきてもおかしくない頃である。
「敵の目の前にのこのこ出て行くお人なんて、あんまおらんと違います?」
「そりゃあのこのことは出てこないだろうけれど、それでも近くには来そうなのに・・・。」
 辺りは先程から誰1人の気配も感じられない。
「ま、彼はわての事信頼したはるから、来いひんと思いますよ?」
 隣にいるはずの都宮の声がやけに遠くから聞こえる。
「え?」
 奇妙に感じた幸が隣を見るとそこには都宮の姿はなく、ロープだけがあった。
「縄抜けは十八番やねん。」
「えええええぇぇぇ!?
「ほな。」
「ちょっと待ったーー!!
 都宮は身体を反転させて走り出した。幸も慌てて追いかけるが、今度は相手は何も持っていないためかなり速い。しかも歩幅の違いもあり距離はどんどん広がっていく。そしてとうとう見失ってしまった。

「・・・どうしよう。」
 幸は膝に手を置き、乱れた呼吸を整える。今度こそ相手が何処へ逃げたのか分からなくなってしまった。辺りは木が茂り、見通しも悪い。
 ヒスト遺跡を出てから一度トレジャーハントをしてお金を稼いでおいたため、まだお金はある。しかしこれで失った金額で幾つ食料が買えたかと思うと、無念で悔やみに悔やんだ。
「何か怖いと思っていたのに、何でよく確認せずに買っちゃったんだろう。いや、むしろ怖かったからさっさと買っちゃったのかも。」
 落胆してその場にしゃがみこんだ。すると六角水晶のペンダントが胸の上で1回跳ねた。服の中から取り出すと、水晶は不思議とひんやりと冷たかった。
「ダウジング・・・?」
 人間をダウジングする事は容易ではない。しかしもし先に逃げた方が都宮と呼んだ人を何処かで待っているとすれば、移動していない人間ならまだ見つけられる可能性がある。
 幸は地面に地図を広げ、ペンダントを外して地図の上に吊るす。先に逃げた方の顔をはっきりと思い出すと水晶の先がある地点で止まった。続いて都宮の方もダウジングしてみるが、こちらは水晶の先が移動して定まらない。つまり2人はまだ合流していない事が分かる。
「早くしないともう合流しちゃいそう。」
 ペンダントを首に戻し、幸は急いで坂本のいる地点へと向かった。

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