少々進むと辺りは林になり、道は二手に分かれていた。
「えーっと・・・どっちに進めばいいんだっけ?」
 早速先ほど買った地図をパラパラとめくっていく。その時ある村名が目に付いた。
「・・・あれ? この村って名前が変わったんじゃ・・・。」
 慌てて自分が持っていた地図と比較する。すると買った地図には今では別の名前に変わった村の元の名前がはっきりと書かれていた。
「もしかして・・・っ!」
 幸は地図の後ろを開いて奥付を確認した。すると発行年がマジックで消されていた。わざわざ発行年を消してあるという事は、これは最新版ではないという事を示していた。
「騙されたっ!?
 ふと脳裏にトレジャーハンターだと答えた時の男性の冷淡な表情が浮かんだ。
「まだいますようにっ!」
 幸は猛然ともと来た道を走り始めた。


「なぁ都宮。やっぱここ全然人通らへんよな。」
「坂本はんがここでやろう言うたん違います?」
「せやっけ? ま、場所変えへん?」
 幸が地図を買った場所で2人は片付けを始めた。都宮と呼ばれた男性は商品を段ボール箱にしまい、坂本と呼ばれた男性は段ボール箱を荷車に載せていった。その動作は手際よく、次々と物が片付いていく。
「・・・都宮。はよ直した方がよさそうやで。」
「! あのお人、気付かはったん!?
 都宮の問いかけに坂本が答える前に答えが向こうからやってきた。はるかかなたから幸が猛然と走ってくるのが見えてきた。
「行くで!!
 最後に長机を入れると荷車の前方で坂本が荷車を引き、後方で都宮が押し始めた。すると荷車は簡単に動き始めた。
「あ!待てー! ・・・えーっと、エセ関西弁商売人!」
「何やねん! その無駄に長ったらしい呼び名はっ!!
 幸の変な呼びかけにきっちりとつっこみを入れつつも、相手は走る速度をどんどん上げていく。しかし幾ら相手が体格差のある男性とはいえ、大量の荷物を持っているため幸より走るスピードは若干遅かった。そしてもう少しで追いつく所で幸は都宮に体当たりをかまして取り押さえた。
「都宮!?
「先行きよし! 後で合流しましょ!」
 坂本は一度だけ振り返ったが、そのままスピードを落とさず走り続けた。
「この地図、3年は昔のものでしょ! お金を返してよ!」
 幸は都宮に地図を突きつけたが、相手は冷ややかに笑い返した。
「残念やけど、わて押さえてもお金持ってはるん向こうさんやで? わては今一銭も持ってません。」
「え・・・。」
 そう言われて、幸は困った顔で坂本が走り去っていった方角を見つめるしかなかった。

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