次の村へ向かうには少々備えが不安な為、買い出しに外へ出た。未だ砂が霧のように漂っていて建物の線が不明瞭になっている。
「何だかどこまでも建物が続いていそう・・・。」
ぽつりと呟いてからそんな訳がないと恥ずかしくなり首を振る。
道なりに進んでいくが、砂嵐が止んだばかりとあってか、全く人の姿が見えない。何件か通りすぎ、ようやく店を見つけて幸は扉を開いた。
中は食糧品店だったが、ここにも誰1人として居なかった。棚もほとんど商品が並んでなく、まるで閉店直後の店のようだった。
「・・・まさか、本当に閉店した?」
おそるおそる店内の奥へ進んでいくが、奥も同じようにほとんどの棚が空っぽだった。
その時、棚の向こう側に人の気配を感じた。幸が棚を回り込もうとすると、先に棚から人影が現れた。
「おお? 珍しい、新規顧客だ。」
現れた人物は30歳前後の男性で、今まで寝ていたようなボサボサの頭をしていた。
「だが残念、店は閉店したのだ。」
男性は大して申し訳なさそうな顔をせず、ヘラヘラと笑う。
「すみません、勝手に入ってきてしまって。・・・ここも閉店したんですね。」
幸が少し不思議そうな顔をすると、男性の顔が少し真面目になった。
「ほー、他の店にも行ったんか。残念だけど、この村の店は皆閉店だよ。」
「えっ!?」
幸は驚いて男性の顔を見る。
「やー、この村は不便だわ、砂がよく飛ぶわ、特産品はないわで人がどんどん居なくなって、とうとう村として機能しなくなったから皆で移住する事になったんだよ。だからもう閉店。」
「そうだったんですか・・・。」
幸は先程の飲食店の様子に納得がいった。
「ま、せっかく来てくれたんだ。欲しいもんがあれば好きなだけ持ってけドロボー! ただし期限切れちゃったのもあるだろうから気を付けなよ?」
男性はおちゃらけて幸に缶詰を1つ渡した。
「いえ、そんな、お代は払いますよ。」
幸はあわてて財布を取り出そうとしたが、男性は更に缶詰を幸の手に乗せて塞ぐ。
「言ったろ? 期限切れも混ざってるって。ようは廃棄処分品なんだ。金は要らねーよ。」
男性はニカッと笑って、そのまま店内の奥へ立ち去ってしまった。幸はお礼を言って、必要なだけ食糧を貰った。
他も閉店してしまったという事で、夕食は泊めてもらえる事になった飲食店で食べる事にした。食糧品店で貰った食べ物を開け、また老人からもおすそわけを頂いた。食事が済むと2階の客間に通され、そこで寝る事になった。