見渡す限り一面の砂。少女はその中に1人たたずんでいた。片手に地図、もう片手に方位磁石を持ち、途方に暮れた表情をしていた。
「おかしいな・・・、予定ならとっくに村についているはずなのに。」
しかし何処を見ても、砂、砂、砂。村なんてものは見えない。
 彼女は道を間違えたのだ。しかし目標物はおろか道筋すら無いので、間違えるレベルの問題ではなかった。
「・・・ダウジングするか。」
 服の襟を摘まみ、首から提げていた六角水晶のペンダントを取り出す。地図を近くにあった岩の上に広げ、ペンダントをその上へ持っていく。始めはくるくると回っていた水晶の先が、ある地点でピタリと止まる。そこが彼女の現在地であった。地図に描かれた目的地の村よりも随分西へとそれていた。
「随分それちゃったなぁ。今日中に村に着けるといいな。」
 ペンダントを元に戻し、秋山幸は走り出した。まだ見ぬ遺跡に思いをはせながら。

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